ビーチを歩いていても、山道を登っていても目にする黄色い花。
強い風に揺らされてなのか、その特徴なのか綺麗な花のまま、道端によくポロっと落ちている。
地元の人は大きいハイビスカス、ジャンボ・ハイビスカスと呼ぶ。
観賞用に私たちがよく目にするハイビスカスは、人の背丈前後の高さだけれども、
名前の通り、ジャンボ・ハイビスカスはそのしっかりとした太い幹と枝で、
普通の木のように高く、大きく成長する。
「枝」
クック諸島の伝統的なダンスショーの衣装の材料。
枝の皮をむき&剥ぎし、海水で洗い、天日干し数日。
そうしたら木の繊維質の紐の出来上がり。
女性ダンサーの腰で揺れる飾りとなったり、
男性ダンサーの力強い動きを強調するように足に付けられる飾りとなったり、
また、繊維質の紐を編んで胸や頭につけるデコレーションになったりと
利用・加工法は様々で、伝統的な衣装に大変身。
最近は色のついた化学繊維等で衣装が作られることが多くなっているけれど、
地物との人たちは、
”やはり伝統的なジャンボ・ハイビスカスの木の幹の白い繊維の色の衣装が一番スペシャルでセクシーだ!”と語る。
クック諸島の服の原料であるジャンボハイビスカス。
今でも木は島中にたくさん生えている。
キリスト教と共に西洋化、そして綿生地が島に届くまでは
人々は島に生えているこのジャンボハイビスカス木の繊維から
衣服を作っていたんだなあ、と。
ジャンボハイビスカスの大きな樹を下から眺めていると
クック諸島の女性たちが集まり、
歌を歌いながら枝を履いているちょっと昔の光景を
ちょっと想像するだけでもロマンが広がる。
「花」
椿のような形をした黄色い花。
私たちが想像するようなハイビスカスの花と比べると少し控えめな派手さ。
ポッと、ポッと、と時折地面に花ごと落ちてくる。
川の両岸に生えるジャンボハイビスカスの木々を眺めていたら、
ぽっつ、ぽっつっと水面に落ち、次々に川下に流れていく。
まるで西表島のサガリバナのようだな、と感じた。
この花は、”シュノーケリングのゴーグルの曇り止め”
しっとりとした蜜を塗り、それを花びらで広げ、拭き取る。
”観光客は買ってきた洗剤を塗ったり、
唾をつけてふき取ったりしているけど、
この花はビーチに行くと落ちているから一番効率的で、しかも無料で清潔さ!”
と、自慢げに教えてくれた。
確かにそうかもしれない。
私もこれからこの知恵を使わせてもらうことにしよう!
クック諸島の人々と共に過ごしていると、
周りに生えている植物を今でも日々の生活に利用し、
まさに自然の中で生活し、自然と共に生きているていることを実感する。
大きな葉っぱをお皿に使ったり、暑い日にはうちわとして扇いだりするのは、初歩。
その他の利用法や加工法、薬草としての処方のされ方等、
今後少しづつ紹介していけたらと思います。