島を取り囲む美しく360度広がるラグーンを眺めながらドライブをしていると、
時々水色の看板が目につきます。
RAUI
なんだ???
Marine Reserve
「ここは、海洋保護区です。生物の摂取は禁止です」
クック諸島では、
古来からAriki = アリキ と呼ばれる酋長が村々を治め、
人々はArikiに従い、暮らしてきた。
Arikiは絶大なパワーを持ち人々をまとめ、
神聖なる事柄、すなわち人々にとって”タブー”であることを決定できる権限がある、という。
タブーに従わなかった場合は重い罰が課せられるので、
伝統的な村の暮らしの中では、
人々はArikiの決めたタブーの規律に従っていた。
それに伴い、社会は平和で統制されていた。
そのタブーの一つが、Raui 。
クック諸島マオリ語で、許された人しかアクセスが許可されない場所の意味。つまり、自然保護区。
海、土地、川、森、畑等に対して適応され、
この区画には”進入禁止”、というルールのことだ。
単なる自然保護の場合もあれば、誰かの死に伴うもの、
または大切な祭事行事の時期に関連するものなど、
いろいろな理由があったようです。
そんな、島に代々伝わる伝統的な自然保護Rauiは、
古来は人々の伝承で言い伝えられ、広められ、守り続けられてきたが、
それは、この近代では難しい話。
しきたりに準じて設けられたRaui自然保護区を
人々にアピールし、知らせるために設置された看板がこれにあたります。
クック諸島の暮らしも近代化が進み、
海外で暮らす人たちも増え、
近年の若者世代を中心に昔の村社会にあったような
タブーの恐ろしさを理解することが少なくなったようです。
Rauiと認定されている場所にも関わらず、
魚釣りや漁をしたりする姿を見かけるようになった、と嘆く声が聞こえます。
自分たちのことのみを考えて、
先祖代々守ってきた土地、しきたり、ルールを勝手に壊すことが起きてきた、と。
また、増え続ける外国人労働者、そして観光客も
”国立公園”や”UNESCO”への理解は多少あっても、
Rauiのことはあまり知られていなのが現状です。
そんな中、政府の役所で、このRauiをアピールし、
自然保護区としての機能を保ち
自分たちの美しい島を守っていこうと、いう動きが出てきました。
その名もRaui Coordinator.
現在島で大々的に公募中。
自然と共に調和して生きて来た
マオリの人々に根付くRauiのしきたり。
Raui Coordinatorの登場により
今後も現代の社会に適して、より発展した形で、
クック諸島に根付き、機能していくことを願います。