ワンフットアイランドはアイツタキ島の南側に浮かぶ小さな島(モツ)の1つです。
ホワイトサンドのビーチに囲まれた美しい無人島で、世界で唯一、無人島に郵便局があることでも有名です。
また、周辺に広がるサンドバーは、どこまで歩いても浅いラグーンが広がる、まさに海と空の青に包まれるブルーの世界。
不思議な名前、“ワンフット アイランド=片足の島”という名前の由来は
上空から見たら「モツ(小島)の形が足の形に似ているから」とも言われます。
しかし、この美しいモツには、もう一つ、必死に息子を救おうとした父親の親子愛に基づく伝説が伝わります、、、
むかし、むかし、そのむかし、、、、
アイツタキ島では海の恵みを受けながら、人々が平和に暮らしていました。
しかしある時、人々ががいくら魚釣りに出かけても、全く網に駆らない時期がありました。
人々は困り果て、島のアリキ(チーフ、酋長)に相談しました。
するとアリキ(酋長)は、島に代々伝わっていた先代の知恵を借り、
アイツタキ島付近の一部の海をRaui (ラアウイ、海洋保護区)に設定しました。
ラアウイとは、アリキの指示にて一定期間、釣りや生き物の確保が禁止されることになります。
それにより、チーフは、魚の乱獲を防ぎ、海洋資源の保護&再生を目指し、次世代へと繋げようとしたのです。
ンガ(Nga)は、とても真面目で、質素な漁師でした。彼はもちろんアリキの指示に従い、漁に出ることを辞めました。
しかし、彼の家族たちはみな空腹でひもじい思いをしていることに、父親として頭を悩ませていました。
「自分たち家族の分だけ少し、ほんの少しだけなら魚を採っても問題ないだろう」と思うようになりました。
ある日、島のお祭りが開催され、人々がみな宴会を行っているとき、ンガと息子Taongo(タオンゴ)は、こっそりとカヌーに乗り、魚がたくさん飛び跳ねているであろう海洋保護区へと目指して漕ぎ出しました。
暗闇の中で、目的地を目指してカヌーを漕ぎ進むのは大変で、ンガと息子は疲れ切ってしまいました。
到着後、家で空腹で待っている家族のことを思い、できるだけ多くの魚を確保できるようにすぐに漁を始めました。
徐々に夜が明け、ラグーンが日に照らされ始めました。
祝賀が終わった人々がラグーンを見渡すと、遥か遠く、ラアウイ内の海に1隻のカヌーが停泊しているのが見えました。
島民は早速アリキに報告したところ、ルール違反をする人を一刻も早く捕まえるようにと、指示を出しました。
早速、村の若者の戦士たちが集まり、カヌーに分乗して違反する犯人を捕らえるようにラグーンを一目散にこぎ進みました。
ンガは、戦士たちが自分たちに気が付き、追いかけてきていることにすぐに気が付きました。
“あそこのモツに向かって漕ぎ進もう”
と、親子は小さな小島に上陸し、逃げるように島の内部を目指して走りました。
その時、ンガは息子の足跡に自分の足形を重ね、急ぎながらも慎重に走りました。
そろそろ戦士たちも小島に上陸したころ、、、
ンガは大きなパンダナスの木の幹に息子を抱きかかえ座らせ、
「暗くなるまでこの木の上に隠れ、動かずに過ごし、その後にカヌーで家に帰るように。
そして、お父さんは家族みんなのことをずっと想っていることをみんなに伝えてほしい… 」
と、息子に伝え、自分は再び、急ぎ足で島の反対側に走っていきました。
戦士たちは、砂浜に残っている足跡をたどり、まもなく木の横を勢いよく通り抜け、父親めがけて走っていきました。
ンガはすぐに捕らえられ、
「共犯者はいないか」
との質問に、
「いや、違反したのは私一人です」
と告げました。
また、足跡も一対の跡しか確認できなかったので、ンガ一人を捕らえ、アリキへ報告しました。
父親が捕らえられる一部始終を木の上にて恐る恐る眺めていたタオンゴは、
戦士たちが島から去り、暗くなってからようやく木から降り、カヌーを漕ぎ家に帰りました。
母親は、ラアウイを破った罰として夫と息子を失ったことを嘆き悲しんでいましたが、息子が無事に帰ってきたことに驚きました。
タオンゴは父親が自分のことをどのように守ってくれたのか、一部始終の話を母親に伝えました。
子どもの足跡に父親が自身の足跡を重ねて1人分の足跡に偽装した、
父親の機転と愛情が子どもを救ったこのストーリーに基づき、
この美しいモツはワンフットアイランド=一つの足跡の島と呼ばれるようになりました。
いかがでしたでしょうか。
少し悲しいストーリーでしたね。
クック諸島文化省作成の動画をご案内します。ワンフットアイランドの伝説を劇で分かりやすく理解することができます。
美しいのみではないワンフットアイランドに秘める伝説を理解してから
この美しいラグーンとモツを訪問すると、更にその奥深さも感じることができるかもしれませんね。