「私の名前はインディア。インドの国の名前と一緒よ」
帆船に乗った時から、その魅力の虜になった。
日焼けした顔に、美しい笑顔が弾ける。
フレンチポリネシア、タヒチ島イティ出身。
25歳。
タヒチ島では、通常は船の仕事をしている。
今回の帆船Fa’afaitiの記念するタヒチ島からニュージーランドへと向かう
ロングヴォヤージ(長い航海)に、初めてキャプテンの大役に抜擢された。
「っえ?女性のあなたがキャプテン?とよく言われわ。
男性たちに囲まれて、あれ?帆船に一人の女性がいるよとか、寄港地で半分からかわれてることもあるわ。」
「だけれども女性でも出来るのよ、ということをみんなに知ってもらいたいのよ。
私たち、女性にもリミットはないの」
Fa’afaitiとは、タヒチ語でRe-connectという意味。
帆船に乗り海を渡ることにより
古代ポリネシアの先祖たちとのリコネクト。
自然、海、大地とのリコネクト。
そんな願いを込めながら、活動するタヒチの伝統航海術協会(Tahtian Voyaging Society)。
2012年にOkeanos Fundationに寄贈されたポリネシアの伝統的双胴船カヌーの1つ。
我が、クック諸島の帆船、マルマルアトゥアの姉妹船です。
月曜日に出発し、ラロトンガ島に到着したのは土曜日の午後。
1100kmを5日半で航海してきた。
Fa'afaitiには3人の伝統航海術師が乗船し、クルー一同スターナビゲーションの技術を学びながらのヴォヤージ。
星を見ながら、風・波・うねり・鳥などあらゆる周りの自然に目を向けながらルートを定め、海を進む。
遠く水平線の彼方に、
ラロトンガ島の影が遠く見えた時は、やはり感激したようだ。
ヴァカに感謝の気持ちを込めて、
到着したとには、花の飾りをかけてあげている、海の女インディアさん。
帆船Fa'afaitiの今回の旅の目的は、ニュージーランドにて10月に開催されるイベント、Tuia 250への参加とのこと。
TUIA 250
https://www.tuia250kituranga.nz
1769年、キャプテンクックが西洋人として初めてニュージーランドに上陸をしました。
そして、西洋人とマオリ人との初めての話し合いの場が設けられてから、かれこれ250年。
ニュージーランドの歴史の大きな転換期となったこの一大イベントを記念する行事が、Tuia 250。
キャプテンクックの率いるエンデバー号は、
タヒチ人の航海士トゥパイア / Tupaiaが乗船し、優れた知識で導きニュージーランドに到着した、
ということはポリネシアでは英雄伝にて語られています。
トゥパイアを称え、彼の伝統航海の知識を称える記念するイベントとして捉えるTuia 250。
その式典の開会式に合わせて、タヒチ航海協会 / Tahitian Voyaging Societyの帆船Fa'afaitiがタヒチ人の若者航海者たちを乗せて
ニュージーランドに向かっているのです。
そして、新しい時代を象徴するように、女性のキャプテンインディア。
マオリ民族とヨーロッパ人の間で、正直な対話を行う機会を設け、
これから将来どのように共に歩んでいくかを考えるイベントとして行われるTuia 250。
南太平洋を渡り進んだポリネシアン人の代表として、そして先祖タヒチ人トゥパイアに敬意を払い、
歴史のリバイブに全力で取り組んでいるクルーたちを見ているだけでも心がアツクなりました。
そして、Fa'afaitiのキャプテンとして、
楽しくてしょうがないというように素敵な笑顔で話をしてくれてインディアさん、とても魅力的な素敵な女性でした。
海の彼方に、帆船が浮かぶ光景。
それが、ポリネシアの昔から続く、日常の風景です。